Running Trippers! ~地元の人と味に触れる旅RUNスタイル~
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「なんて温かいのだろうか」。琉球演舞と島唄を子ども達が披露し、その脇で島の小中学生たちが懸命に給水サポートをしてくれる。黒糖、バナナ、塩、コーラ…ランナーへの心遣いが知れる有難いエイド。祭りの縁日に来たような錯覚。 島の中の町、中泊、鳥島辺りを走る頃、フルマラソン選手とすれ違う。すれ違いざまにアスリート同士が励まし合う。「ガンバレ!」「ファイト!」「ナイスラン!」、声を掛けながらのハイタッチ。暑さに折れかけてた気持ちが今一度鼓舞される。 制限時間はフル7時間、ハーフ3.5時間と、島ならではの“て~げ~”さである。タイムにこだわる者、楽しく完走することを目指す者、参加することの意味を見出す者。フルマラソンの最終ゴール者は75歳を超す。ハーフに至っては80歳超。彼らが何を求めて走るのかは計り知れない。そして、走り終えた後に得るものに神秘の念さえ抱く。傘寿80歳とは還暦を越えて20歳になる歳でもある。 ゴール直前、芝生の上を全力疾走する者。足を引きずりながらも懸命に前進する者。仲間と笑顔で並走する者。歩く速度で一歩一歩ゴールに近づく者。 とにかくゴールは瞬間でしかない。ゴールの手前は、あと1㎞であろうが、あと1㎝であろうが、しんどい。そして、ゴールを通過した途端に倒れ込む。息が切れるし、足が痛い。「2度と走るか!(怒)」などと叫ぶ声さえ聞こえる。しかし、あのゴール線、いや一瞬の点の瞬間だけは、ランナーに必ずと言っていいほど笑顔がある。ゴール前もゴール後もしんどいが、その一瞬だけは。 盛飲み放題。 完走パーティは泡盛が飲み放題なのである。レース後の“ヒト用ガソリン”は瞬時にカラダに行き渡る気がする。酔いが早けりゃ、友達になるのも早い。同じゴールを目指した戦友同志の第二ラウンドは「とことん楽しむ」ことがゴール。南国の空気には、三線の音がよく合う。物理的なものなのか、泡盛のせいなのかは定かではないが、都会のビルの中で聞くのとは明らかに違う。踊ることに照れがない。交わり喜ぶことに自分の魂を見るかのよう。「いちゃりばちょおでぇ、ぬー、ひだてのあが、かたてぃ、あしば」なのである。日本で一番最後に日が暮れる沖縄。夜の始まりは遅いが、夜は長い。久米島の酒場が、島唄と島料理で迎えてくれる。北は北海道、全国からランナーが集まる。「一期一会」の言葉を頭に浮かべ、この時とばかりに明日を考えずに今日を楽しむ。明日の朝、後悔しようとも「一期一会」という言葉が自分を励ます。そんな繰り返しも5回目を越えようとしている。泡

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